脳卒中について- STROKE -

1) 脳卒中とは
脳卒中とは、脳の血管が詰まったり、破れたりして、色々な症状が現れる状態を指す言葉です。
脳卒中は主に「脳梗塞」、「脳出血」、「くも膜下出血」の3つのタイプがあります。おおよその割合は脳梗塞60%、脳出血30%、くも膜下出血は10%です。
脳卒中は1960年代は日本人の死因の第一位で、その殆どが高血圧に関連した脳出血によるものでした。血圧の薬の出現に伴い高血圧に関連した脳出血は減少傾向で現在、脳卒中は日本人の死因の第四位となりました。一方、生活が豊かになり食事の西欧化が進んだこともあり、動脈硬化による動脈の狭窄や閉塞による脳梗塞の患者が増えつつあります。また、脳卒中は寝たきりのになる主な原因として知られています。
沖縄県では働き盛り(30歳~65歳)の高血圧関連死が多く、その中で最も多いのは脳出血とされています。また、脳卒中患者の中に占める脳出血の割合が高いことや、全国と比較して脳血管疾患の死亡原因に占める脳出血の割合が男性で高い(全国34%、沖縄44%)ことが知られています。
[参考]
・沖縄県医師会 | 65歳未満健康死亡率改善プロジェクト
・沖縄県医師会 | 沖縄に多い脳出血
・沖縄県循環器病対策推進計画(第2期)
2) 脳卒中の症状
脳卒中の症状は脳のどの部位で生じたかで異なり、その症状は多彩です。
脳卒中の代表的な症状の確認法としてFASTがあります。
F:Face→顔の表情に左右差、笑顔が作れない
A:Arm→腕が上がらない、腕の保持できず腕が下がる
S:Speech→しゃべり方がおかしい。呂律が回らない
T:Time→F、A、Sの症状が一つでもあれば一刻も早く病院へ
脳卒中の発症時の症状の参考として脳卒中協会の以下の啓発動画があります。
[参考]
・脳卒中啓発動画 発症時対応篇~素早い対処が道を開く~
3) 脳梗塞とは
脳の血管が詰まったり、細くなったり(狭窄)することで、その先に血液が流れなくなり、酸素やブドウ糖が供給されなくなるために脳細胞が壊死した状態です。
詰まる血管の大きさや詰まり方によって主に以下の3つの病型に分けられます。
- ラクナ梗塞:脳の内部にある穿通枝(主に0.05mm~0.3mm)という細い動脈が詰まることで生じます。
- アテローム血栓性脳梗塞:脳の太い血管(主幹動脈)の動脈硬化の閉塞や狭窄による循環障害によって生じます。
- 心原生脳塞栓症:心臓内に出来た血栓(血の塊)が脳の血管まで流れて込んできて詰まることで生じます。脳の手前ないし脳の入り口付近の太い血管(主幹動脈)が閉塞し、大きな脳梗塞になることも多く、重症化することが多い梗塞です。
< 治療 >
適応などにもよりますが、脳梗塞発症4.5時間以内であれば、血栓溶解療法(t-PA療法)、発症6時間以内の頭蓋内主幹動脈の閉塞である場合は血栓回収療法(カテーテル治療)が選択されることもあります。他、脳梗塞の病型や状態に応じて再発予防薬や脳保護薬など各々の病態に応じた治療が行われます。
4) 脳出血とは
脳の血管、特に脳の細い血管(前述の穿通枝)が破れて、脳の中に出血を起こした状態です。高血圧によるものが主な原因です。
< 治療 >
発症直後(急性期)より、血圧を下げる治療を行います。出血が多く血種が拡大した場合は手術による血種除去などが検討されます。
5) くも膜下出血とは
脳の表面にある動脈に出来た瘤(脳動脈瘤)が破裂したことで、脳の表面にある「くも膜」という、くもの巣に似た膜の内側に出血した状態です。40~60代の中高年の女性に好発することが知られています。
< 治療 >
患者の状態を踏まえて、可能であれば、出来るだけ早期に脳動脈瘤への根治術を行います。動脈瘤頸部クリッピング術(開頭する手術)、動脈瘤コイル塞栓術(開頭しない手術)などが行われます。
6) 脳卒中のリハビリテーションに関して
脳卒中で入院後早期より症状に応じてリハビリテーションによる介入を行います。急性期の不安定な時期が過ぎた後も麻痺などの残存がある場合はリハビリテーション病院へ転院し、集中したリハビリテーション(回復期リハビリテーション)を行うこともあります。
※日本脳卒中協会は「脳卒中の予防」や「患者やそのご家族様の支援」目的の為、多数の動画コンテンツを作成しております。ご興味のある方は以下のリンクをご参照ください。
[ダウンロード]
公益社団法人 日本脳卒中協会
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